よつばと再び

こないだも『よつばと!』について書いたが、キャラクター以外で好きな部分を少し書こうかと。

このマンガでとても好きなのが夏の描き方だ。特に好きなのが2巻に収録されている第14話「あさぎのおみやげ」の回の冒頭のシーンだ。この冒頭のシーンは開始2コマは風景、3コマ目で自転車の籠の中の荷物、4コマ目でやっと自転車をこぐ風香が現れる。1ページ目はここで終わり、2ページ目では風香とご近所さんとの会話が描かれるが、全7コマ中3コマは人の写らない風景描写である。この見開きページはどう考えても風景が多い。さらにこの、人の顔が描かれない(1ページ目3コマ目は手だけなので入れない)5コマ全てに空が描かれる。(1つは家の窓に映った空だが)ちなみに風香がおつかい空帰ってきているところなので風景は家並みであり、空はほとんどの場合家を見上げるようなアングルの向こうに見えるようになっている。そして家にはとても濃い影が付けられている。また1ページ目の自転車をこぐ風香にも影をあらわす斜線が引かれている。以上説明した2ページによって夏の日差しの強さを感じることができる。2ページ目の風香とご近所さんの会話の中で「暑いねー」というセリフもでてくるが、既に1ページ目の家と風香の影によって描かれているものを強調しているだけだ。それなら2ページにわたって空をしつこく描く必要もないじゃないか?と思うかもしれないが、そこは見開きの力というものがある。開いたとき、全体的に空の印象が強まるように描かれているのだ。1ページ目では1,2コマめで空が描かれているが、2ページ目では最後の4コマ中3コマに空が描かれており、つまり見開きの右上と左下は空になっているである。


セリフや、人物の表情といったものではくて(そういえばよつばたちは汗をかかない)、風景描写で日差しの強さを感じさせて読者に暑いんだろうなと思わせる、この感じが私はとても好きなのだ。ものすごく夏の雰囲気を感じる。

ディティールが細かいだけじゃなくて、こういった表現がまた細かくて本当に見所にあふれたマンガである。
また好きな部分を細かくみて分析っぽいことをしてみることにしよう。