レディコミレーベルから出版されている本書。BLと言っていいのやら。作家さん本人も「初のレディコミ」と言ってるし、やおいと言うよりゲイ本か?

帯に書かれた”男を抱くのは怖いですか・・・?”のコピーに惹かれ購入。数日前にも書いた本である。これが、とてもよかった。ノンケの流されやすい男が粘着質のゲイにストーカー的な愛を注がれ、真実の愛を得るという、BLっぽいっちゃぽい話。だが、このノンケの男が恋に落ちていく様がまぁよく、書かれているのだ。自分が男を愛してしまったことを、否定し、言い寄ってくる女に流されていく部分が、えらくリアル。流されやすい男=誰でも受け入れる=誰も愛していないというところがうまく描かれている。ただ、この男がなんでそんなにモテるのか私にはよくわからなかった。

エロシーンがなかなかハードな感じだった。だが、前から思っていたのだが、水城氏の描くエロはほんのりエロい。エロい雰囲気を描くのがうまい。そのものずばりな連結シーンはそれほどエロくない。なんでだろうと思ったら、液体がさらさらしているからなのだ。ハードエロを描くやおい作家のみなさん(筋肉系など)はモノをリアルに描くからエロいんじゃない。液体のぬるぬる感がエロスを生み出しているのだと思う。ぬめっていると同時に質量感があるのだ。それが、水城氏には無い。汗だろうが、精液だろうが、さらさらと流れていく。そのため、雰囲気だけがエロく、描かれた行為自体は幻想的とも言えるようななんともキレイなものになっている。

今年のBLベストに入りそうな予感。水城氏の『同棲愛』も読みたくなった。文庫化しないものだろうか。