少女マンガに求めるもの

卒業論文で少女マンガを取り扱い、少女マンガ誌9誌を読んだのだが、その中での感想を少し。
美少女戦士セーラームーン』以降低年齢層向けの少女マンガ誌、とくに『なかよし』(講談社)は変身ヒロインが多く登場している。最近の傾向としては、4〜5名の戦隊形式より、2人組みが主流のようである。(『二人はプリキュア』など)何故、低年齢層向けでは「変身ヒロイン」が多いのだろう。これはアニメとのタイアップの関係だろう。現に、最近アニメ化したものは変身モノが多いように思う。変身ものは、子供に向けたグッズ(おもちゃ)展開がしやすいのが大きな理由だろう。また、きらびやかな「変身」は幼い少女達から一定の人気を得ることはできるだろう。ビジュアルのインパクトが重要な低年齢層向けの少女マンガにはうってつけのテーマなのだ。
つまり、低年齢層向けの少女マンガを読む少女達がそこに見るのは「ファンタジー」「夢の世界」である。

最近では、低年齢層向けの少女マンガは「大きなオトモダチ」=「男オタク」を読者として取り込んでいる。コゲどんぼなどのいわゆる萌え系の絵を描く作家に連載をさせるなど、出版社は意識的にそういった読者も楽しめる作品を載せようとしている。

対して、高年齢層向け雑誌(cokkie、別冊マーガレットなど)では、「友達の友達の話」が描かれているように思う。おもしろいのが、主人公は作品中の扱いなどから考えて「そこそこかわいい」なのだ。乙女ちっくマンガでは「ドジでダメな私」だった主人公が「そこそこかわいいけど、平凡な私」になっている。読者とさほど変わらない、どこかにいそうな設定の主人公が、恋や、友情に悩む様子を描いた作品がほとんどなのだ。ただ、マンガらしく、それぞれがそこそこハードだったり、ドラマティックだったりする。読者自身に起こることに近いけど、ほんの少し上にあるものを描いているのではないだろうか。それを読者は、感情移入しつつも、「大変だね」「うらやましい」といった感想を持ちながら、見るのだろう。友達に対する相槌に近い。

高年齢層では読者に起こりうる可能性のあるもの、もしくは読者の日常を喚起させるものを描いており、「憧れ」ではなく、「同調」を読者に与えているのだ。つまり「あるある〜」と「こんな風になったら自分はどうするかな」の2つで成り立っている。


読者が一体マンガに何を求めているかを、作品から判別するとこういうことではないだろうかと私は感じた。